月に雁‥読み方や意味と切手と‥
その昔、「月に雁」といえば、すぐにあの有名な切手趣味週間の切手が思い浮かんだものであるが、いまのスマホ全盛の時代に、はがきや手紙は廃れてしまって、記念切手の発売日に、郵便局で行列ができることもなく‥。
まさに、時代は流れるであるのか‥。
「月に雁」とは「つきにかり」と読む。漢字を見ずに、単に、「つきにかり」と聞くと、何のことと思われる人が多いのではないだろうか?(ちなみに、森鴎外の小説「鴈」の読みは「がん」である)
秋の夜の一場面を上空から眺めるように、舞い降りる三羽の雁を短冊判にまとめた歌川広重の浮世絵の傑作「月に雁(つきにかり)」。昭和24年(1949年)11月に郵便週間記念の記念切手の図柄にもなったおなじみの作品である。
作者の歌川広重(1797~1858年)は、「東海道五十三次」の浮世絵版画のシリーズで知られる江戸時代末期の浮世絵師。名所絵のほかに花鳥画にも長じており、絵に付される句と呼応して味わい深い作品が多い。
切手趣味週間とは
切手趣味週間(きってしゅみしゅうかん)とは切手の健全な収集をはかるため、日本の郵政記念日(旧・逓信記念日)の4月20日を含む1週間に設定されている週間である。
切手趣味の普及を図る目的で1947年に当時の逓信省が「切手趣味の週間」として設けた。これを記念する切手も発行されており、最初の年は普通切手を小型シートに収めたものだったが、翌年には初めて切手趣味週間オリジナルの記念切手が発行され、菱川師宣の『見返り美人』が図案に採用された。
この切手は高額印紙用の目打ちを利用して作られたこともあり、翌年に発行された歌川広重の『月に雁』とともに日本の切手の中では最大のサイズとなった。『見返り美人』は日本の記念切手の代名詞といわれ、郵便創業120年にあたる1991年にも採用されている。
その後、記念切手の発行は一時中断したが、1955年以降は毎年発行している。近年は日本郵趣協会のキャンペーンにより会員が全国各地でミニ切手展を開くなど、実効のある週間となってきている。
1947年:葛飾北斎「山下白雨」の富士
普通切手(第1次新昭和1円切手)5枚を組み合わせ、小型シートの形で発行[7]。
1948年:菱川師宣「見返り美人」
1949年:歌川広重「月に雁」
1954年:法隆寺観音菩薩像
普通切手(第2次動植物国宝10円切手)10枚を組み合わせ、小型シートの形で発行[6]。
1955年:喜多川歌麿「ビードロを吹く娘」
1956年:東洲斎写楽「市川蝦蔵」
1957年:鈴木春信「まりつき」
1958年:鳥居清長「雨中湯帰り」
1959年:細田栄之「浮世源氏八景」
1960年:三十六歌仙絵巻「伊勢」
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以下、略
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こむな夜か又も有うか月に雁 歌川広重 ‥
上空から眺めるように幾重にも盛り上がった空から、舞い降りる三羽の雁を短冊判にまとめた広重の傑作「月に雁」。その作品の左上の画賛の句です。1949年に切手の図柄にも選ばれたもので、澄み渡った秋の空遠く、物悲しげな雁の声が聞こえてくるかのようです。
満月の前を舞い降りる三羽の雁が、何と美しいことか。
こんな夜が またと来るだろうか、いや、来るまいー
〔意訳〕
あまりの美しい光景に、広重のため息が聞こえるようです。忘れられない夜だったのでしょう。
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「月に雁」落款の「鹿」「馬」に隠された秘密
広重の遊び心でしょうか‥、落款の「鹿」は「福」に、「馬」(後ろ姿)は「寿」にデフォルメされ、「馬鹿」と「福寿」の二重の意味を隠されています。
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初代 歌川広重とは‥江戸時代の浮世絵師
寛政9年〈1797年〉- 安政5年9月6日〈1858年10月12日〉。本名は安藤重右衛門。幼名を徳太郎、のち重右衛門、鉄蔵また徳兵衛とも称した。「安藤広重」と呼ばれたこともあるが、安藤は本姓・広重は号であり、両者を組み合わせて呼ぶのは不適切で、広重自身もそう名乗ったことはない。
江戸の定火消しの安藤家に生まれ家督を継ぎ、その後に浮世絵師となった。風景を描いた木版画で大人気の画家となり、ゴッホやモネなどの西洋の画家にも影響を与えた。
広重の月といえば、切手趣味週間の記念切手として昭和24年〈1949年〉11月1日に発行された
「 月に雁かり 」が有名ですが、広重はその他にも月を配した数多くの作品を残しています。
雁暮れて西湖明るし眞帆片帆 正岡子規
真帆片帆(まほかたほ)とは多くの船が行き交うさま。 「真帆」は、追い風に直角に帆を張ること。 「片帆」は、横風に対して斜めに帆を張ること。 ともに、帆船が航行する際の帆の張り方の呼び名。
調べてみると、子規は「真帆片帆」を多く詠んでいます。
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春風や海に花さく真帆片帆 正岡子規
春風や東へ片帆西へ真帆 正岡子規
真帆片帆どこまで行くぞ青嵐 正岡子規
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まとめと関連情報
上空から眺めるように幾重にも盛り上がった空から、舞い降りる三羽の雁を短冊判にまとめた広重の傑作「月に雁(つきにかり)」。その作品の左上の画賛の句が「こむな夜か又も有うか月に雁」です。
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月に雁‥読み方や意味と切手と‥
こむな夜か又も有うか月に雁 歌川広重 ‥
名月や畳の上に松の影 其角
月岡芳年の連作「月百姿」十六番目、月耀如晴雪‥菅原道真
2022年&2023年の新月の日はいつ?
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