土井晩翠 星落秋風五丈原 歌詞
星落秋風五丈原は400行にも及ぶ長文の歌詞です。
私がとある日、ネットで見かけたのは、第七段の
群雄次第に凋落し‥の部分でした。
全文は、こちらのHP(日本の軍歌)で参照できます。
星落秋風五丈原 歌詞
作詞:土井晩翠
作曲:不詳
(一)
祁山悲秋の風更けて 陣雲暗し五丈原
零露の文は繁くして 草枯れ馬は肥ゆれども
蜀軍の旗光無く 鼓角の音も今しづか
丞相病篤かりき
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中略
(七)
鬼神も哭かむ秋の風 行て渭水の岸の上
夫の残柳の恨訪へ 劫初このかた絶えまなき
無限のあらし吹過ぎて 野は一叢の露深く
世は北邱の墓高く
蘭は砕けぬ露のもと 桂は折れぬ霜の前
霞に包む花の色 蜂蝶睡る草の蔭
色もにほひも消去りて 有情も同じ世々の秋
群雄次第に凋落し 雄図は鴻の去るに似て
山河幾とせ秋の色 栄華盛衰ことごとく
むなしき空に消行けば 世は一場の春の夢
撃たるるものも撃つものも 今更ここに見かえれば
共に夕の嶺の雲 風に乱れて散るがごと
蛮觸二邦角の上 蝸牛の譬おもほへば
世ゝの姿はこれなりき
金棺灰を葬りて 魚水の契り君王も
今泉台の夜の客 中原北を眺むれば
銅雀台の春の月 今は雲間のよその影
大江の南建業の 花の盛もいつまでか
五虎の将軍今いづこ 神機きほひし江南の
かれも英才いまいづこ 北の渭水の岸守る
仲達かれもいつまでか 聞けば魏軍の夜半の陣
一曲遠し悲茄の声
更に碧の空の上 静かにてらす星の色
かすけき光眺むれば 神秘は深し無象の世、
あはれ無限の大うみに 溶くるうたかた其はては
いかなる岸に泛ぶらむ 千仭暗しわだつみの
底の白玉誰か得む、 幽渺境窮みなし
鬼神のあとを誰か見む
嗚呼五丈原秋の夜半 あらしは叫び露は泣き
銀漢清く星高く 神秘の色につつまれて
天地微かに光るとき 無量の思齎らして
「無限の淵」に立てる見よ 功名いづれ夢のあと
消えざるものはただ誠 心を尽し身を致し
成否を天に委ねては 魂遠く離れゆく
高き尊きたぐいなき 「悲運」を君よ天に謝せ
青史の照らし見るところ 管仲楽毅たそや彼
伊呂の伯仲眺むれば 「万古の霄の一羽毛」
千仭翔る鳳の影 草廬にありて龍と臥し
四海に出でて龍と飛ぶ 千載の末今も尚
名はかんばしき諸葛亮
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星落秋風五丈原 第7段 読み方と意味
土井晩翠 星落秋風五丈原
群雄次第に 凋落し、
雄圖(ゆうと)は鴻(こう)の 去るに似て
山河幾とせ 秋の色、
榮華盛衰 ことごとく
むなしき空に消行けば
世は一場(いちじょう)の 春の夢。
野心に燃えた群雄が、各地に跋扈するも、起こっては倒れ、倒れては起るを繰り返し、まるで、渡り鳥が秋になれば飛び去る如く、山河は強者共が夢の後といった情景だ。
そういった繁栄と衰退の攻防も、全て併せて、時を経て見れば、これ全て、一場の春の夢・幻なのか。
或いは、凄惨極まる戦いの後の、太平の世の中なのか。
歴史は人なり
http://rekisinton.cocolog-nifty.com/blog/2006/…/post_7b1c.html
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土井 晩翠(どい ばんすい)とは
土井 晩翠(どい ばんすい)
(1871年12月5日(明治4年10月23日) – 1952年(昭和27年)10月19日)
詩人、英文学者。本名、林吉)。姓は元は「つちい」だったが
昭和初期に改称した。男性的な漢詩調の詩風で、
女性的な詩風の島崎藤村と並んで「藤晩時代」と称された。
また、瀧廉太郎の作曲で知られる『荒城の月』の作詞者としても知られ、
校歌・寮歌なども多く作詞した。戦陣訓の文校正でも知られる。
英文学者としては、ホメロス、カーライル、バイロンなどを翻訳している。
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●目次
土井晩翠(土井晩翠詩抄(天地有情/暁鐘/東海遊子吟/
曙光/天馬の道に)/雨の降る日は天気が悪い/
漱石さんのロンドンにおけるエピソード-夏目夫人にまゐらす/
名犬の由来/学生時代の高山樗牛/新詩発生時代の思ひ出/
「イーリアス」訳の跋)/上田敏(海潮音/忍岡演奏会/
『みだれ髪』を読む/民謡/飛行機と文芸)
●著者情報
土井晩翠(ドイバンスイ)
明治4年、仙台に生まれる。小学校の頃から文学に親しませる家に育ち、
在中学は「帝国文学」に作詩を発表した東京帝大英文科を卒業後、
明治32年に処女詩集「天地有情」を刊行、滝廉太郎の作曲で知られる
「荒城の月」を収める一巻のなかでも、「星落秋風五丈原」に代表される
漢語を駆使した荘重な叙事の調べは、島崎藤村の抒情詩と並んで
時人に迎えられる。その後も第二詩集「曉鐘」以下に国民詩人の
気概を賦しては、第二高等学校教授をつとめる傍ら、
ホメロスの「イーリアス」「オヂュッセーア」をギリシャ語原典から
訳出する業を遂げた。昭和25年、文化勲章を受章し、同27年歿
上田敏(ウエダビン)
明治7年、東京に生れる。第一高等中学校から東京帝大英文科に学ぶ間、
「文学界」同人となり、また「帝国文学」に海外の文学事情の紹介の筆を
執ったのは、やがてフランス象徴派を主とする詩篇の翻訳に向わせ、
一連の訳詩を輯めて明治38年に刊行した「海潮音」は、
近代日本の象徴詩運動の一端緒を開く。他方で「『みだれ髪』を読む」で
与謝野晶子の一巻をつとに認めて推賞した烱眼は、同34年に出版の
評論集「文芸論集」によく示され、京都帝大教授の任に就くなかで、
長編小説「うづまき」の作をなすなど、明治文壇を領導したと見る間に、
大正5年に歿した。
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