夏の月蚊を疵(きず)にして五百両 其角
蕉門十哲の一人に数えられる宝井其角(たからい きかく)だからこその一句です。
「春宵一刻価千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)」に対して、其角は、夏の月夜は春宵の半額、五百両だといって夏の月を楽しむわけです。 蚊に刺されるのが玉に疵(きず)というのが理由です。なんとも其角らしさが表現されている句だと思います。
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夏の月 蚊を疵にして五百両 其角
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宝井其角(たからい きかく)
寛文元年7月17日(1661年8月11日) ~
宝永4年2月30日(1707年4月2日。一説には2月29日(4月1日))
江戸堀江町で、近江国膳所藩御殿医・竹下東順の長男として生まれた。はじめ、母方の榎下姓を名乗っていたが、のち自ら宝井と改める。其角は十四歳の頃、松尾芭蕉に入門し、二十三歳の時に俳諧撰集『虚栗』を編纂。
忠臣蔵では、赤穂義士討ち入り前夜、四十七士の一人の大高忠雄(源吾)と会い、煤竹売りに身をやつした姿を憐れんで「年の瀬や水の流れと人の身は」と詠んだ。これに対して源吾は「あした待たるるその宝船」と返して、討ち入り決行をほのめかしたとされる(歌舞伎『松浦の太鼓』)。
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春宵一刻値千金とは
春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)とは、春の宵(よい)は素晴らしく、そのひとときは千金にも値するという意味です。こちらのサイトに詳しい解説があります。
「一刻」はわずかな時間の意味で、昔の一時の4分の1、約30分。 「千金」は千両・大金の意味。 「値」は本来「直」と書く。蘇軾の詩『春夜』に「春宵一刻直千金、花に清香有り月に陰有り、歌管楼台声細細、鞦韆院落夜沈沈(春の夜の趣には千金の値打ちがある。花は清らかな香りを放ち、月はおぼろに霞んでいる。夜になるとそれまで高殿で歌や音楽に興じていた人々の声も静まっていき、中庭のブランコに戯れる人もなく垂れて、夜はしんしんとふけていく)」とあるのに基づく。 |
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夕すずみよくぞ男に生れけり 其角
其角の生きていた江戸時代には、むろん冷房装置などはないので、夕方になると表に出て涼を取った。そして男は、表でも浴衣の腕もまくれば尻もはしょる。女性にはそれが出来なかったから、「よくぞ男に生れけり」なのである(以上、『増殖する俳句歳時記』検索: 夏の月 (longtail.co.jp)より引用)。
鶯の暁寒しきりぎりす 其角 辞世の句
47歳で他界した其角。辞世の句は「鶯の暁寒しきりぎりす」。墓所は東京都世田谷区にある称住寺など。宝井其角の画像、名言、年表、子孫を徹底紹介 | 江戸ガイド (edo-g.com)
この「きりぎりす」は、現在でいうキリギリスではなく、コオロギのことらしい。自らの姿と重ね合わせた「きりぎりす」。それは、芭蕉が斎藤実盛を詠んだ「むざんやな甲の下のきりぎりす」に相通じる。これらの「きりぎりす」に共通するのは、百人一首に選ばれた後京極摂政前太政大臣の「きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしきひとりかも寝む」に表れる孤独感である。
この辞世を口遊む時、華々しい人生の裏側にある寂しさを思わずにいられない(以上、榎本其角 | 週刊俳人のシニザマ (uranari819.net)より引用)。
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まとめと関連情報
「夏の月蚊を疵(きず)にして五百両 其角」
蕉門十哲の一人に数えられる宝井其角(たからい きかく)だからこその一句です。
「春宵一刻価千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)」に対して、其角は、夏の月夜は春宵の半額、五百両だといって夏の月を楽しむわけです。 蚊に刺されるのが玉に疵(きず)というのが理由です。なんとも其角らしさが表現されている句だと思います。
夏の月蚊を疵(きず)にして五百両 其角
月に雁‥読み方や意味と切手と‥
こむな夜か又も有うか月に雁 歌川広重 ‥
名月や畳の上に松の影 其角
月岡芳年の連作「月百姿」十六番目、月耀如晴雪‥菅原道真
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